top of page
「トピックス(研究内容)」
糖鎖とは、グルコースなどの単糖が鎖上に連結した分子のことです。近年、糖鎖は様々な生命現象に関与していることが明らかになりつつあり、核酸(ヌクレオチドが連結した鎖)やタンパク質(アミノ酸が連結した鎖)に並ぶ「第三の生命鎖」として注目されています。私たちは、糖鎖に結合する分子および生物活性を示す糖鎖に基づいて、糖鎖に関連する疾患の治療薬および糖鎖研究に利用できるツール分子の開発を行っています。また、糖鎖に関する研究以外にも、ユニークな反応性を有する天然物に関する研究も行なっています。
現在取り組んでいる主な研究プロジェクトは以下の通りです。
(1)糖鎖に結合する天然物に基づく糖鎖研究用ツールおよび感染症治療薬の開発
放線菌が生産するPradimicin (PRM) 類は、現時点において生理的条件下でマンノース (Man) と結合できる唯一の低分子化合物群です。私たちはPradimicin類の一種・PRM-AとManの結合メカニズムを解明するとともに、末端にManをもつ糖鎖にPRM-Aが強く結合することを明らかにしました。この知見をもとにしてPRM-Aを化学修飾し、糖鎖の蛍光検出剤 (PRM-Azide) や糖タンパク質の染色剤 (PRM-EA) などのツールを開発しています。
さらに近年、PRM-Aがウイルスや真菌の糖鎖に結合して新型コロナウイルスの感染や多剤耐性真菌(薬に対して耐性を獲得した真菌)の増殖を抑えることを見いだしました。病原菌の糖鎖に結合する感染症薬は知られていないことから、現在PRM-Aに基づいて前例のない感染症薬を開発することを目指して研究しています。
(2)糖鎖に着目した抗認知症病薬の開発
日本を含む先進諸国では、高齢化による認知症患者の増加が大きな社会問題となっています。認知症の主な原因疾患はアルツハイマー病(AD)ですが、ADの根本的な予防・治療法は未だに確立されておらず、AD治療薬の開発は喫緊の医学的課題の一つとされています。近年、アミロイドβ(Aβ)ペプチドが神経細胞膜上のガングリオシド(シアル酸をもつ糖脂質)と結合することにより会合し、生じたAβオリゴマーが神経細胞に損傷を与えることによってADが発症することが明らかになりつつあります。
私たちは、Aβとガングリオシドの結合に着目し、その結合様式の解明とAβオリゴマーの形成を抑える阻害剤の開発を行っています。最近、糖がAβとガングリオシドの結合を阻害してAβオリゴマーの形成を抑える可能性を見いだしました。この知見に、現在アルツハイマー病の予防・治療薬となりうるオリゴ糖誘導体の開発に取り組んでいます。
(3)ユニークな反応性を有する天然物に関する研究
 私たちは、放線菌の培養液からがん細胞の増殖を抑える新規天然物を発見し、Quinocidinと命名しました。さらに、Quinocidinの母格である3,4-dihydroquinolizinium (DQ) 環が中性水溶液中、室温でアミノ酸の一種・システインと反応する一方で、他のアミノ酸とは反応しないことを明らかにしました。この天然物から発見した新しい反応に基づいて、タンパク質に含まれるシステイン残基を化学修飾するツール分子の開発を行なっています。

 

 

連絡先

 

〒464-8601 名古屋市千種区不老町 名古屋大学大学院生命農学研究科

TEL&FAX: 052-789-4118

アクセス

Visit (2018/04/01-Now)
bottom of page